長野内科胃腸科

長野内科胃腸科

メディカルチェック

東北ジャーナル』掲載記事

第1話 初めまして、胃腸科の長野です

わたしは、北仙台で内科・胃腸科を開業している長野です。
よろしくお付き合いのほど、お願いいたします。

  わたしの専門は、胃腸科(消化器)です。消火器ではありません。
食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢(たんのう)、膵臓(すいぞう)を診る科です。
日本人は、胃腸関係の病気をお持ちの方が多いですから、みなさんも検診・人間ドックなどで何らかの異常を指摘されたことがあると思います。
  今回は、総論を述べ、次回より食道から膵臓までを各論で述べ、最後に総括させていただきます。

  みなさんは、胃腸科と聞くとまず、何を連想されますか?
胃ファイバー(胃カメラ)ですか?
「いや-、あれは苦しかった」と思いの方も多いでしょう。
本院でも毎日検査を行っていますが、「思ったほど苦しくなかった」とお褒めの言葉(?)をいただいております。
確かに胃腸科は検査の多い科です。
胃ファイバーのほかに胃レントゲン検査、腹部超音波検査、大腸レントゲン検査、大腸ファイバー、…。
それらすべて絶飲食(朝起きたら、飲み食いなし)でやられるわけですから、相当体力がない(?)と耐えられないかもしれません。
体重減少の検査で入院して、いろいろ検査され、何も病気はなかったが、ますます体重が減った、などという笑い話もあるくらいです。
  しかし、この検査機器の発達、検査技術の向上により、胃がんや大腸がんの早期発見、胃ポリープ(いぼ)や大腸ポリープなどを外科手術せずに切除すること(ポリペクトミー)が可能になり、さらには胃潰瘍・十二指腸潰瘍からの出血に対しても内視鏡で止血可能になりました。
このことは、早期退院、早期社会復帰に寄与すること大、と思います。

  では、どういった症状があったときに胃腸科に行けば良いのでしょうか?
吐血(口から血を吐く)・下血(肛門から血が出る)、腹部激痛の症状の時は、すぐ救急車を呼んでください。
また、黒色便(コールタール様便)の時も急いで胃腸科にかかった方が良いでしょう。
これらが緊急手術、緊急内視鏡による処置の可能性の高い症状です。空腹時の腹痛、長引く下痢、目が黄色いなどの時は、2~3日以内にかかったほうが良いでしょう。
食べ物がつかえる、胸焼けする、なんとなく胃がもたれる、食欲がない、脂物を食べると痛くなる、下腹部が張る、食べているのに体重が減る、酒がまずくなった、などの症状があれば、一週間以内に受診なさってください。

  今回は1回目ですので、この辺にしておきましょう。お読みいただいて、一人でも多くの方の病気が見つかり、治療していただいて、皆様の健康にお役に立てれば幸いです。

第2話 胸やけ・げっぷ・酸っぱい水

今回は食道の話です。食べ物をゴクンと飲み込んで、ストンと胃に落ちるまでに通る管が食道です。
長さは約25センチメートルです。その食道に異変を生じると、つかえ感、胸やけ、げっぷ、酸っぱい水、などが症状として起きます。
心当たりはありませんか?
代表的な食道の病気は、食道がん、逆流性食道炎、マロリーワイス症候群、食道静脈瘤などです。

食道がん
  一番恐い病気です。
50歳以上の男性で喫煙者、大酒家、ウィスキーをストレートで呑む人に好発します。
食べ物がつかえ出してからでは遅いので、年に1回、胃ファイバー(胃カメラ)検査を受ければ、同時に食道も検査できます。
早期食道がんで発見できれば、外科手術や内視鏡下手術で治癒し、命を落とさなくてもすみます。

逆流性食道炎
  最近増えてきた病気です。
胸やけ、酸っぱい水です。悪性ではありませんが、放っておくと出血することがあります。
胃ファイバー検査で解りますし、よい薬が開発されていますので、内服治療で治ります。

マロリーワイス症候群
  ちょっと聞き慣れない病名でしょう。
これは、飲酒などのあとに数回吐いているうちに、突然大量の血液を吐く病気です。
簡単に言えば、食道と胃の境界部が縦にナイフで切ったように裂けてしまう病気です。
これも胃ファイバー検査で解り、治癒できます。安静、点滴で治ります。
吐く癖(?)のある方は、要チェックの病気です。

食道静脈瘤
  ある意味ではがんよりも恐い病気です。
肝臓病(肝硬変)の方で、この病気を合併していると
突然大量の血を吐きます。
肝硬変の方は血液が固まりにくいですから、次々と出血します。
歌舞伎の先代・尾上辰之助さんが、この病気で命を落とされましたね。
しかし、今では胃ファイバーを使った治療で、血を止めて、静脈瘤を消滅させることができます。

  以上、食道関係の疾患を紹介しましたが、定期的な胃ファイバー検査が大事だということが、お解りでしょう。
年に1回といってもいつ検査したか、忘れてしまうことが多いですね。
そこでわたしは、『誕生月検診』をお勧めしています。
自分の誕生日を忘れる方はいないでしょう。
年に1回忘れずにできるというわけです。

  「先生は定期検査を受けているの?」ですって?
恥ずかしながら受けていません。
医者の不養生?
すみません。原稿書くのに忙しくて……。
  次回は胃(パートⅠ)です。ご期待ください。

第3話 胃潰瘍で胃が痛いよう

今回は胃潰瘍のお話です。

 胃はみぞおちにあります。
そこがシクシクと痛んだり、ジワーッと痛いときは胃潰瘍が疑われます。
特に空腹時(お腹がからっぽの時)に痛い時は、
胃潰瘍の疑いが大であります。

 胃潰瘍とは胃の粘膜がえぐられる病気です。
口内炎のような白いもの(白苔)が胃の粘膜にできます。
痛いわけですね。
がんではありませんので、悪性の病気ではありませんが、
恐いのは出血です。
胃潰瘍ができたところに運悪く血管が顔を出していると、水道の蛇口をひねったようにドバーッと大量出血し、出血性ショックをきたし、
倒れることがあります。

 なぜ、胃潰瘍ができるのでしょうか?
ストレス、睡眠不足、お酒、タバコ…。
あなたはいくつ心当たりがありますか?

 最近、注目される原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)があります。
ヘリコプターではありません。
 胃の中は強酸性の世界なので生息する菌などない、と考えられてきました。
ところがピロリ菌が最近になって発見され、これが潰瘍発生の一因ではないか、となったわけです。
このピロリ菌は細菌ですから抗生物質が効くわけです。

 平成12年11月から保険適応になりましたから、潰瘍がなかなか治らない方や、薬を飲むと良くなるが止めるとすぐ再発する方は、ぜひ、抗生物質を飲んでピロリ菌をやっつけましょう(除菌療法)。
 除菌療法に加えて、強い制酸剤であるプロトンポンプインヒビター(PPI)、H2プロッカーが開発されましたので、開腹手術をしなくとも、内科的な内服治療で治せるようになったわけです。

第4話に続く

目次

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